🎼一曲吹けた瞬間から、音楽の世界があなたのものになります。

もくじ
最初に選ぶ曲は、短くて知っているメロディが一番です
ハーモニカを始めたばかりのときに大切なのは、
難しい曲を完璧に演奏することではなく、
自分の息で「一曲吹けた」という達成感を味わうことです。
最初の曲として最適なのは、
音の数が少なくて、リズムがゆっくりしており、
誰もが一度は聴いたことのある曲です。
例えば「ふるさと」「きらきら星」「夕焼け小焼け」などの童謡は、
音の移動も少なく、吹きながらメロディを頭でイメージしやすいので、
最初の曲にぴったりです。
この段階では上手さよりも、
「できた」「音楽になった」という喜びが心を支えてくれます。
理由~音楽の楽しさは“成功体験”から生まれるからです
ハーモニカの練習を始めたばかりのころは、
ドレミファソラシドの音を出すことだけでも精一杯です。
音がかすれたり、息が続かなかったり、
穴を間違えたりすることもあります。
もしそのまま難しい曲に挑戦してしまうと、
思うように吹けず、自信をなくしてしまいます。
だからこそ、
最初の一曲に選ぶ曲は“簡単で慣れているもの”が望ましいのです。
脳がメロディを覚えている曲であれば、
楽譜をじっと見るのではなく、
呼吸や感覚に意識を向ける余裕が生まれます。
息の流れやリズムを感じながら演奏することができ、
自分の中に音楽があることを実感できます。
さらに、
人は「できた」と感じた瞬間に、次の挑戦をしたくなる生き物です。
一曲吹けたという経験は、次の曲への原動力になります。
逆に、いきなり難しいことに取り組んで失敗ばかりしてしまうと、
それだけでやめてしまいたくなることもあります。
だから、
最初から上手を目指す必要はありません。
まずは音楽に触れ、音が繋がったときの喜びを感じること。
それこそが、ハーモニカを長く楽しく続ける一番の近道なのです。
具体例~最初の一曲に向けた練習のステップ

最初の一曲を吹けるようになるまでの道のりは、
大きく三つのステップに分かれます。
まずは音とハーモニカに慣れることから始まり、
次に短いフレーズを覚えて、最後に一曲丸ごと吹けるようになります。
最初のステップは、
ドレミの音階を自分の息で鳴らすことです。
ドの音は四番の穴を吹いたときに鳴ります。
息を強く吹きすぎず、柔らかく息を前に送るイメージで鳴らします。
ドがきれいに出たら、次はレの音です。
レは同じ穴を吸うと鳴ります。
吹いて、吸って、また吹いてミ、吸ってファ。
こうして一音ずつ丁寧に鳴らしていくと、
音を作る感覚が少しずつ体に染み込んでいきます。
ここで焦らずゆっくり進むことが大切です。
次のステップは、
ドレミファソという音を滑らかに繋げることです。
穴を右へ少しずつ移動させながら吹いたり吸ったりします。
唇を大きく動かす必要はなく、
ハーモニカの方を唇に沿って軽く滑らせるように動かします。
音が切れてしまったり、別の穴に当たって違う音が鳴ってしまうこともありますが、
それは自然なことです。
何度も吹いているうちに、唇の感覚が穴の位置を覚えてくれます。
短いフレーズの練習としては「きらきら星」の最初の部分が適しています。
「ドドソソララソ」は、音の並びも簡単で、息の切り替えも少なく済みます。
このフレーズが滑らかに吹けたら、それだけでも立派な一歩です。
次に「ふるさと」の冒頭、
「うさぎおいしかのやま」は、吹く音と吸う音が交互に出てきます。
息を吸うときは焦らず、空気を急いで吸い込むのではなく、
優しく引き込むようにすると音が落ち着きます。
そして三つ目のステップは、一曲全体を通して吹くことです。
「ふるさと」や「夕焼け小焼け」「赤とんぼ」は、
テンポがゆっくりで音の数も少なく、最初の一曲にふさわしい曲です。
歌詞を口ずさみながら吹くと、自然と息のタイミングがつかめます。
途中で音を間違えても構いません。
止めずに最後まで吹き切ることが重要です。
音楽は間違えた数ではなく、心を込めた回数で育っていきます。
最初の日はドレミすらまともに出ませんでしたが、
毎日五分だけ続けてみたところ、
七日目には「ふるさと」の最初のフレーズを吹けるようになりました。
「自分の息で音楽ができるなんて、こんなにうれしいことはない」と、
嬉しそうに話していた方もおられました。
練習は毎日でなくてもかまいません。
二日に一度でも、週に三回でも、続けようと思えるペースで続けることが大切です。
いつも同じ時間に吹く習慣をつけると、自然と体が音を覚えてくれます。
完成を急がず、音と向き合う時間を楽しむことが、何よりも大切なのです。
まとめ:一曲吹けたら、世界が少し違って見えます

ハーモニカの練習で最初に目指すべきゴールは、
難しい曲や早いテンポではありません。
短くて優しくて、誰もが知っている曲を、一曲吹き切ることです。
音が少しずれても、途中で音が止まってしまっても大丈夫です。
最後まで吹き切るという経験こそが、次の曲への扉を開いてくれます。
ハーモニカの素晴らしさは、自分の息がそのまま音になるところにあります。
息が震え、音になり、曲になっていく。
その瞬間、自分の中に眠っていた音楽の感覚が目を覚まします。
そして、その音は誰のものでもない、あなた自身の音なのです。
一曲吹けたら、それはもう立派な演奏者です。
次の曲を吹きたくなったり、誰かに聞かせたくなったり、
ハーモニカがいつの間にか日常の相棒になっていきます。
最初の一歩は小さくてかまいません。
でも、その一歩の先には、心が豊かになる時間が待っています。
今日、ハーモニカを手に取り、
息を吹き込む音から始まる新しい物語を、どうか楽しんでください。
