シニア世代を思いっきり楽しむ|60代からの暮らし・趣味・ペット・自然と生きるブログ

日出ヶ岳の朝日と友人の苦笑い|忘れられない青春の山歩き

若いころ、私は気の合う仲間たちと、よく山を歩いていた。

10代の後半から20代にかけて、山歩きは私にとって大きな楽しみの一つだった。

山の景色を眺めることも好きだったが、それ以上に楽しかったのは、仲間たちと一緒に過ごす時間だったのかもしれない。

山道を歩きながら交わした何気ない会話。

思いがけない出来事に、みんなで笑ったこと。

そして、何十年たっても忘れられない友人の表情。

そんな思い出の一つが、大台ヶ原の日出ヶ岳にある。

雨の山小屋で迎えた夜

そのとき私たちは、大台ヶ原から日出ヶ岳を経て、大杉谷へと向かう、1泊2日の山歩きを計画していた。

ところが、山に入ったときから雨が降っていた。

夜になると、雨はいっそう激しくなった。

私は子どものころから天気に興味があり、気象情報を聞きながら天気図を描くのが好きだった。

その夜も山小屋で気象情報を聞き、天気図を描いてみた。

東シナ海には低気圧があり、梅雨前線や高気圧との位置関係から、これから天気が大きく変わるのではないかと考えた。

翌日の天気を心配していた登山者に、私は思い切って、明日からは晴れると思うと話した。

もちろん、気象の専門家ではない。

自分で描いた天気図をもとにした予想である。

口では晴れると言ったものの、心の中には少し不安もあった。

もし、明日も雨だったら……。

そんな思いを抱えながら、夜を過ごした。

雨が上がり、青空が広がった

翌朝。

外の様子を確かめると、前夜の雨が嘘のように、空は晴れ渡っていた。

青い空が広がっている。

雨に洗われた山の空気は、すがすがしかった。

ああ、晴れた。

自分の予想が当たったうれしさもあったが、それ以上に、仲間たちと晴天の山を歩けることがうれしかった。

前夜の激しい雨を知っているだけに、目の前の青空がいっそう美しく感じられた。

山の天気は、ときに厳しい。

けれど、その厳しさのあとに出会う景色には、忘れられない美しさがある。

あの朝の青空は、今でも心に残っている。

日出ヶ岳で起きた、思いがけない出来事

晴れ渡った空の下、私たちは山歩きを楽しんでいた。

前夜の雨から一転して、気持ちのよい朝だった。

仲間たちの気分も、自然と明るくなっていたのだと思う。

そんなとき、一人の友人が、思いがけないことになった。

日出ヶ岳からの下り道で、でんぐり返しをするように転んでしまったのである。

もちろん、本人はでんぐり返しをするつもりなどなかったはずだ。

気持ちよく山を歩いていたところでの、突然の出来事だった。

幸い、けがはなかった。

そして、私の記憶に今でも残っているのが、そのあとの友人の表情である。

朝日を浴びながら、なんともいえない苦笑いを浮かべていた。

その顔が、実に印象的だった。

美しい山の景色も、澄み渡った青空も、もちろん忘れられない。

けれど、それと同じくらい、あのときの友人の苦笑いが心に残っている。

何十年もたった今でも、思い出すと、つい笑みがこぼれてしまう。

山の思い出は、景色だけではない

山歩きの思い出というと、美しい山頂からの眺めや、苦労して登った達成感を思い浮かべることが多い。

私にも、そんな思い出はたくさんある。

けれど、不思議なことに、長い年月を経ても鮮やかに残っているのは、仲間たちとの何気ない出来事だったりする。

山道で交わした言葉。

誰かが失敗して、思わず笑ってしまったこと。

疲れたときに励まし合ったこと。

そして、何ともいえない表情を浮かべた友人の顔。

あの日の日出ヶ岳も、もし一人で歩いていたら、まったく違う思い出になっていたのだろう。

美しい青空を眺めて、気持ちのよい山歩きを楽しんだ。

それだけでも、十分にすばらしい一日だったと思う。

しかし、そこに仲間がいたからこそ、思いがけない出来事が生まれ、今でも笑って思い出せる一日になった。

山歩きの楽しさは、景色の美しさだけではない。

誰と一緒に歩いたか、そして、その人たちとどんな時間を過ごしたか。

それもまた、山の思い出を特別なものにしてくれるのだと思う。

あの友人の苦笑いを、今も覚えている

30代になって大阪へ転勤してからは、かつての山仲間たちと一緒に歩く機会がなくなった。

その後は、年賀状をやり取りするくらいのお付き合いになっていった。

あれから長い年月が過ぎた。

あのときの仲間たちは、今、どんな毎日を過ごしているのだろう。

ふと、そんなことを考える。

けれど、思い出の中の仲間たちは、今でもあのころのままだ。

山道を元気に歩き、何気ないことで笑い合っている。

そして、日出ヶ岳の朝日を浴びながら、苦笑いを浮かべている友人がいる。

若いころには、あの何気ない一瞬が、何十年も心に残るとは思ってもいなかった。

思い出とは、本当に不思議なものだ。

忘れていたと思っていた景色や出来事が、何かのきっかけで、突然よみがえってくる。

そのとき、気持ちだけは、あのころに戻っている。

雨の山小屋で天気図を描いた夜。

翌朝、目の前に広がった青空。

そして、朝日に照らされた友人の苦笑い。

どれも、私の青春時代の大切な一場面である。

あの日の日出ヶ岳には、美しい朝日と、忘れられない友人の笑顔があった。

そして、そんな思い出を振り返る今日も、ちょっといい日になりそうだ。

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