🌸 特集：心を整える｜第五回 ｜自分を大切にする時間をつくる

はじめに：心がほっとする“ひとり時間”を持っていますか？

誰かのために頑張ることが当たり前だった時代を経て、
いま、私たちはようやく「自分のための時間」を取り戻す時期に来ています。

会社のために働き、子どもを育て、
地域のつながりを支え、忙しく走り抜けてきた日々。
それらはもちろん誇らしい時間です。
でも、少し立ち止まって考えてみましょう。

「私は、私自身を大切にしてきただろうか？」

誰かのために尽くすことは素晴らしいことですが、
自分の心と体を置き去りにしてしまうと、
本当の意味で人を思いやる余裕もなくなってしまいます。

だからこそ、これからの時間は、
“自分をいたわる”ために使っていいのです。

自分を大切にすることは、心を整える第一歩

「自分を大切にする」という言葉を聞くと、
少し贅沢なことのように感じるかもしれません。

でも実際には、
自分を大切にすることは“心のメンテナンス”であり、
健康や人間関係、人生の豊かさの土台になる行動です。

心が整えば、まわりの人への思いやりも自然に生まれます。
自分を優しく扱える人ほど、他人にも優しくなれる。
それが、心を穏やかに保つ一番の近道なのです。

なぜ「自分のための時間」が大切なのか

人は、何かに追われ続けると心が疲れてしまいます。
特にシニア世代になると、
「もう仕事も終わったし、これからは自由に」と思っていたのに、
気がつくと誰かの世話や用事で毎日が埋まっていることも少なくありません。

家族のため、地域のため、誰かのため。
その中で「自分のため」は後回しになりがちです。

けれど、心にも“エネルギーの充電”が必要です。
携帯電話の充電が切れたら動かないように、
心の充電が足りなくなると、笑顔や優しさが自然に出なくなってしまうのです。

だからこそ、毎日の中に「自分のための時間」を意識して作ること。
それが、心を整え、人生を軽やかにしてくれます。

自分を大切にすることは“わがまま”ではない

日本人は「人のために頑張る」ことを美徳とする文化の中で育ってきました。
だから「自分を大事にする」と聞くと、
どこか「 わがまま」な印象を持つ人も多いでしょう。

でも、本当に大切なのは“自分を後回しにしない”ことです。
誰かを助けるにも、自分が元気でいることが前提です。

飛行機の非常時の説明でも、
「まず自分の酸素マスクをつけてから、周りの人を助けてください」と言われますね。
それと同じで、自分を整えることは“生きるための基本動作”なのです。

小さな「ごほうび時間」をつくる

自分を大切にする時間は、
大げさなものでなくても構いません。

・朝、ゆっくりコーヒーを淹れる
・好きな音楽を聴きながら散歩する
・お気に入りの入浴剤でゆっくり湯に浸かる
・夕方、空の色を静かに眺める

たった10分でもいいのです。
その時間が、“自分を大切にする合図”になります。

「ごほうび時間」を持つと、
心の中に“今日も悪くないな”という小さな満足が生まれます。
それが、毎日の幸せを感じる力につながるのです。

自分を褒めるという習慣

私たちは誰かを褒めるのは得意ですが、
自分を褒めることは、少し苦手です。

でも、どんな小さなことでもいいのです。

「今日はちゃんと起きられた」
「ごはんを丁寧に作った」
「花をきれいだと感じた」

それだけで立派な“今日の自分”です。

人は、褒められると心が温かくなります。
その感覚を自分自身に与えてあげることが、
心を元気にする最高の習慣なのです。

ゆっくりと生きる勇気

現代社会は、「早く」「効率的に」が当たり前の時代でした。
でも、シニア世代の今こそ、“ゆっくり生きる”ことを選ぶ勇気が大切です。

ゆっくり食べ、ゆっくり話し、ゆっくり考える。
それだけで心の呼吸が深くなり、
焦りやストレスが自然と和らぎます。

「急がなくても、ちゃんと進んでいる」
そう思えるようになると、
人生の景色が穏やかに変わっていきます。

他人と比べないことの大切さ

自分を大切にするためには、
「人と比べることをやめる」勇気も必要です。

誰かの暮らしを見て「いいな」と思う気持ちは自然ですが、
比べることで自分の幸せを小さくしてしまうこともあります。

人生のリズムも、歩くペースも、
人それぞれ違って当たり前。

「自分のペースで、自分の幸せを育てていく」
それが、自分を大切にする生き方です。

自然の中で「何もしない時間」を持つ

ときには、何も考えず、
自然の中でただ“そこにいる”時間を過ごしてみましょう。

公園のベンチに座って風を感じる。
庭の花を眺めながら深呼吸する。
海や山を見て、「今日もきれいだな」とつぶやく。

それだけで、心がふっと軽くなります。

自然には、“人の心を整える力”があります。
それは、何かを変える力ではなく、
「そのままでいいよ」と包み込んでくれる力です。

自分を大切にするための「デジタル休暇」

スマホやテレビから、少しだけ離れてみる日を作ってみましょう。

情報の洪水の中で、心は知らぬ間に疲れています。
1日、数時間でも“デジタルをオフにする時間”をつくると、
自分の感覚が戻ってくるのを感じます。

何かを「見て」過ごすより、
何もない時間の中で「感じて」過ごす。
それが、心を休ませる最良の方法です。

自分の心に“ありがとう”を伝える

夜、眠る前に、静かに自分の心に話しかけてみましょう。

「今日も一日ありがとう」
「うまくいかないこともあったけど、よく頑張ったね」

そんな一言を自分にかけてあげるだけで、
不思議と心が穏やかに落ち着いていきます。

誰かに言ってもらうより、
自分で自分にやさしくすることが、
いちばん深い癒しになるのです。

まとめ：自分を大切にすることが、人生を豊かにする

自分を大切にする時間をつくること。
それは、決して特別なことではありません。
一日の中に、自分の心がほっとできる“すきま”をつくるだけでいいのです。

自分を大切にすることで、
心はやさしく整い、
人との関係も自然にやわらかくなっていきます。

“自分をいたわる”ということは、
“これまでの人生を認め、これからの人生を楽しむ”ということ。

どうか今日の終わりに、
静かに自分に微笑んでください。

「よくやってるよ、私」

そのひとことが、
あなたの心を明日へと軽やかにしてくれるはずです。